2012/07/11   相手をリスペクトするということ

先月、6月20日にプロボクシングのミニマム級統一戦があった。
WBCチャンピオン井岡一翔(いおかかずと)とWBAチャンピオン八重樫 東(やえがし あきら)の戦いだった。
(しかし、名前読めないよね! カズトとアキラ)

TV放映の視聴率が、関東地区で18.2%、関西地区で22.3%で、たぶん今までボクシングを観戦したことない人まで熱くさせたのではないかと思う。
実際、Twitterで、以前ウチの事務所にいた、@plusbesugino さんなど、号泣したとツイートしていた。

ロンドン五輪出場が決まったサッカー日本代表の×バーレーン戦の視聴率が、関東地区19.3%、関西地区16.6%だったから、いかにあの試合が注目を集め、しかもいい試合だったかがわかる。

続いて先日、WBCスーパーフライ級世界タイトルマッチが行われた。
チャンピオン佐藤洋太×同級1位シルベスター・ロペス(フィリピン)の戦い。
ハードパンチャーで、高いKO率を誇る挑戦者とのことだったが、 リーチにまさり、トリッキーな動きをみせる余裕のあったチャンピオンが、挑戦者を翻弄して圧倒的な差で判定勝ちした。

そして、7月16日にはWBA世界スーパーフェザー級チャンピオンの内山高志が同級7位マイケル・ファレナスの挑戦を受ける。
内山高志は、かなりのハードパンチのチャンピオンで、スカッとした戦いが期待できる。
今から楽しみだ。



と、別にプロボクシングコラムを書いているわけじゃなくて、実は先日の佐藤洋太の世界戦の後で、気になるコメントを聞いてしまったのだ。

その世界戦を観戦していた、あのボクシング三兄弟の三男が、観戦後に「パンチもないし、(戦ったとしたら)普通に勝てる」とコメントしたとメディアが流した。
もちろん直接聞いたわけではないので、本当にそんなコメントだったのかどうか、真偽の程は定かではない。
しかし、なんだか寂しさを感じてしまったのだ。


戦いだから、相手を挑発したり、すかしたりするのは戦術のひとつである。
駆け引きはあって当たり前だと思う。
でもね、井岡と八重樫のような戦いを見ちゃったワケですよ。
我々はすでに。

そこには少なくとも相手をリスペクトする姿勢があったように思えたんだよね。

ボクシングのように、お互いの命を削りあうような戦いをするとき、そこでは相手をけなすこともなく、自分を卑下することもなく、ひたすら相手にパンチを入れることに集中するわけでしょう。
そんなやりとりをする相手が、"へなちょこ"じゃイヤじゃないですか。
なのに、あいつは"チキンだ"的な発言をいつもする(いつもメディアが流す)。

ボクシングって、見るほうは、一瞬も気の抜けないピリピリとした緊張感と、信じられないほど早く強いパンチと、折れない気持ちと、闘う姿勢を観たいのに、観る前から水をさされてしまう。

相手をリスペクトしないから、相手からもリスペクトされない。
だから凡庸な戦いしかできなくなってしまう・・・・・なんてことってあるんじゃないだろうか。



実は、仕事もいっしょだと、ずっと思っている。
取材先や取引先をいかにリスペクトするか、そして相手からもリスペクトされるか。
いや、リスペクトされることが目標なのではない。まず、相手をリスペクトすること・・・・・
リスペクトという言葉が適しているかどうかも怪しいのだが。
それは、やりとりの中で生まれてくる信頼感とか、相手のためにもっといいものを作りたくなる向上心とか、そういったもののことなのだ。
(もちろん、"純粋に"尊敬"できる人もいる)

版元だったり、作家さんだったり、タレントさんだったり、一般人だったり、お店の店長さんだったり、
またときには、企業の社長だったり、広告代理店の営業担当だったり・・・・・
我々の仕事の相手は幅広い。
しかし、相手によってその気持ちはわかることはない。
仕事は、相手をリスペクトすることからはじまる。

どちらが上とか下とか、ない。
エライとか、偉くないとかも、考えない。
どんなことを考え、何を思い、何をしてきて、何をしようとしているのか。
よくよく調べたり、事前に情報を仕入れていれば、自分にはない、自分にはできない、相手のスゴイところがたくさんわかってくる。
あるいは、話を聞きながら、そういった気持ちになることもある。

新しいことをはじめようとするとき、今までにない企画を考えているとき、相手とバトルことがよくある。
キライだから闘っているのではない。
リスペクトする気持ちをもちながら闘うことができれば、ひとつ上の高みに到達できるかもしれないと、思っているからなのだ。


取材の現場は楽しいし、企画の打ち合わせも楽しい。
楽しく意見を交わしたり、闘っていると感じられるときは、いいものになる予感がするし、
実際にできたり、読者やユーザーに好評だったりする・・・・・。

本当のところ、仕事の成果というのは、とても見えづらいものなのだが、
仕事の過程は、ボクシングの戦いのようにありたいと思う。


プロボクサーがリングに上がり、相手と拳を交えるように、仕事がしていければいいな!

















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